対談風コラム「看板少女と管理人（仮）第八章」
キャラクター偏愛録【ハマーン・カーン】
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モンク=修行僧でありヌンチャク、トンファー、三節棍を使いこなして最終的には徒手空拳が最強の武器となる異例の職業。これほど現実とファンタジーでの意味がかけ離れた職業は他にないだろうな。
これだけ無茶な職業が初代ファイナルファンタジーに既に存在していて、しかも最終的には最強武器エクスカリバーや正宗よりも強力な空手攻撃ができるってんだからすごいよね。最初っから色んな意味でファンタジーだったんだネ。
実は始めっから王道ではなかったということだな。おそるべしスクウェア。閑話休題。今回は「機動戦士ガンダム」シリーズに登場したハマーン・カーン、いわゆるハマーン様について語りたいと思う。私にはマシュマー・セロの気持ちが自分のことのようにわかるぜ！アノ人のためだけの騎士でありたい。「ハマーン様、万歳ッ！！」
ちょ、落ち着いて！キミのハマーン様への愛はわかったから…。えーと、呼び捨てにしたら大変なことになりそうなので呼び方は「ハマーン様」で統一します。（信者だ、信者がいる…）じゃ、とりあえずハマーン様の略歴から確認しようか。
ハマーン・カーン＝ジオン公国高官マハラジャ・カーンの次女。ミネバ・ラオ・ザビの摂政にしてアクシズの実質的支配者。登場作品は主にアニメ「機動戦士Zガンダム」「機動戦士ガンダムZZ」「機動戦士ガンダムC.D.A.若き彗星の肖像
(角川コミックス・エース)」。とくにコミックは初代「機動戦士ガンダム」〜「Zガンダム」の間にあったシャア・アズナブルとの確執について描かれているのでハマーン様ファンとしては押さえておきたい所。
作者が北爪宏幸氏（Z、ZZのキャラデザ）なので絵柄的なギャップがないのも感情移入しやすい大きなポイントだね。それで、キミにとってハマーン様ってどんな人物に見えてるの？
一言で言えば「一途で可愛い人だな」。
えー！？そうなの？アクシズ（のちのネオ・ジオン）の支配者なんてやってて、しかもあの声（CV.榊原良子）だよ！？可愛いって言葉は一番無縁な気がするんだけど。
あの声と物腰だからさ。声優さんの演技も素晴らしいが、気丈さを強く見せながらもニュータイプ特有の非常に繊細、かつかすかな不安定さを感じさせる姿に私は惹かれるのだよ。守ってあげなければ、とね。
なるほどねぇ。強気な態度は見た目だけで実際はとても優しい人って印象なわけね。
そういうわけだ。そのハマーン様が心の拠り所としようとしているクワトロ・バジーナ（シャア・アズナブル）が一向に振り向く様子がないのが切ないというかもどかしいと言うか。応えてやれよシャア！とか思うわけだな。
そこまで慕われてるのにシャアってばいけずだよねぇ。二人の関係のもどかしさはZガンダム特有の人間関係の複雑な描写の真骨頂だね。どうしてこうまですれちがっちゃうの？みたいな。
単純な話二人の関係は「ハマーン様→シャアに夢中」「シャア→迷ったり色々合ってハマーン様を拒否」だからな。ぶっちゃけシャアがハマーン様に向き合ってちょっと優しい言葉をかければ速効でメロメロになると思うぞ。それくらい入れ込んでるからな。
そういうハマーン様の一途な気持ちを利用して篭絡しようとか考えない所が逆にシャアのいいところなのかな。仮に悪用すればアクシズ（ネオ・ジオン）を裏から操ることも容易いだろうに。
問題はアクシズ（ネオ・ジオン）の民衆の心がザビ家（ミネバ・ラオ・ザビ）の威光を掲げて統一されているってところだな。シャアは当然ザビ家は嫌いだし、もっと長い目で人類を見据えているようだ。いずれすべての人類がニュータイプになり争いがなくなるのを望んでいる様子だからな。
でもハマーン様は待ちきれなくなったわけだね。地球人類が地球至上主義を掲げたままニュータイプに覚醒する様子を見せないことに。そしてなによりクワトロ・バジーナとしてエゥーゴに入隊したシャアが、連絡を断ったまま自分のところに戻ってきてくれないことに。
その通りだ。アクシズを率いる重責はとてもハマーン様一人に耐えられるものではなかった。どうしても心の拠り所としてシャア・アズナブルにはそばに居て欲しかった。寂しかったんだよハマーン様は。そう考えるととても女性的で儚げだとは思わないか？
そうだね。それだけ心の拠り所を求めていたってことだもんね。キミがハマーン様を可愛いっていうのはそういうところを見て思ったんだね。
しかし少々意外だったのはシャアとハマーン様が、その、あまりいい言い方ではないが肉体的な接触がなかったって事だな。「機動戦士ガンダムC.D.A.」を読めばわかるがナタリーと仲良くなっていて、ハマーン様自身はシャアに強い憧れを抱いてはいたものの結局恋仲になることはなかったわけだ。傍目に見るとあのシャアへの執着は異常に映るかも知れないな。
うん。あれはボクも意外だった。二人は一度深い恋仲になってその関係が自然消滅したからこそ、そのよりを戻そうとハマーン様がシャアに何度も「私のもとへ戻って来い」って言ってるって思ってたし。
二人の摩擦はハマーン様が無意識にシャアの深層意識を読んでしまい、それをシャアが激怒したこと、恋仲にあったナタリーをハマーン様が実質見殺しにしてしまったことにあったわけだ。人間関係のドラマがメインであるガンダムとはいえ、個人的にはもどかしい展開ではあるな。
そして二人のすれ違いは埋めることができないまま、エゥーゴの発足とティターンズの台頭、そしてそこから端を発する「グリプス戦役」という大きな波に飲み込まれてしまうわけね。
そして最終決戦の地、ゼダンの門で確執の末にハマーン様はシャアを自らの手で殺した（と思い込んだ）わけだ。初恋は叶わないもの、か。名残惜しそうなハマーン様は見ててつらかったな。
最愛の人を失ったハマーン様はシャアに思いを馳せながらネオ・ジオンを名乗って新たな秩序を築くべく戦いに赴く、と。
その後、同じニュータイプにして新たな時代の寵児ジュドー・アーシタと出会い心を通わせるわけだ。
だけど、結局ジュドーに拒否されて手を取り合う事無くZZガンダムとキュベレイの最終決戦の果てに短い生涯を閉じると。「強い子に会えて…」。空虚になっていた心は少しは満たされたのかな。ハマーン様は。ほんと切ないねガンダムのストーリーは。
新時代の幕開けを垣間見てわずかでも満足した、と思いたいな。そうでなくてはあまりにも可哀想すぎる。ニュータイプ黎明期の犠牲者みたいなもんだからね。ハマーン様は。
そうだね。キュベレイ爆発時の幻は一瞬だけでも満たされた表情だった。そう考えないとむくわれないものね。
こうやって過酷でもどかしい人間関係があるから個人的にはZよりもZZの方が好きなんだよな。まぁハマーン様萌えも多分に理由としてあるだろうことは自覚しているがね。だがそれでも叫ばずにいられない！「ハマーン様、万歳ッ！！」
『ハマーン様！万歳ーッ！！』
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